株式会社グッテ 代表取締役 宮﨑拓郎 社長
■株式会社グッテ 代表取締役 宮﨑拓郎 社長 プロフィール
米国登録栄養士(RDN)、公衆衛生学修士(MPH)、中小企業診断士。ミシガン大学日本研究員。
【宮﨑社長】
「帝人株式会社の製薬部門にて、アメリカや欧州、メキシコ等での事業開発・マーケティング・アライアンスを担当しました。その後、栄養科学に興味を持ち退職し渡米。2018年ミシガン大学公衆衛生学修士(栄養科学)修了しました。勉強は本当に楽しく朝から深夜まで図書館に缶詰の毎日でした。その後アメリカの登録栄養士の資格を取得するためにミシガン大学病院や軍人向け病院などでの勤務を経て無事米国登録栄養士の資格を取得しました。同大学消化器内科で臨床試験(低FODMAP食※1/アプリなど)にも携わり、貴重な経験をしました。在学中に日本で株式会社グッテ(旧:ジーケア)を起業し、帰国後代表取締役になりました。IBD※2患者さん向けのオンラインコミュニティを2019年に立ち上げ、現在は3000名以上のユーザーが登録する日本の難病領域最大級のオンラインコミュニティに成長しました。武田薬品工業様や田辺三菱製薬様など多くの製薬企業とタイアップしながら、患者さん中心の医療実現に向けて様々な取り組みを行っています。また昨年には明治グループさんのサポートを受けて食品開発を経験しました。”すべての人に食の喜びを”をコンセプトに食に制限がある人でも安心、おいしく食べられる食の選択肢を広げていきたいと考えております。栄養領域では講談社より書籍2冊を中東先生らと共著で出版しました。保険適応外クリニックでの食事指導にも従事しています。」
※1.低FODMAP食:FODMAP(フォドマップ)は、小腸で吸収されにくく大腸で発酵しやすい糖質の総称で、以下①~⑥の頭文字を合わせた言葉です。
①Fermentable:発酵性
②Oligosaccharides:オリゴ糖(豆類、小麦、玉ねぎ、ごぼう、納豆など)
③Disaccharides:二糖類(乳糖:牛乳、ヨーグルト、アイスクリーム、クリームチーズなど)
④Monosaccharides:単糖類(果糖:果物やはちみつなど)
⑤And
⑥Polyois:多糖類(糖アルコール:キシリトール、ソルビトールなど)
※2.IBD:Inflammatory Bowel Disease(炎症性腸疾患=クローン病、潰瘍性大腸炎)
聞き役(中東真紀:カラダノミライ研究所 代表)
【中東】
宮﨑社長、IBDの書籍作成では、大変お世話になりましてありがとうございました。患者さんやご家族の方にたくさん利用して欲しいですね。本日は、IBDのことも含めてお話をお聞きしたいと思います。どうぞ宜しくお願いいたします。宮﨑さんとは、オンラインでお話したのが最初でしたね。ミシガン大学大学院に在籍して見えたときですから、6~7年くらい前でしょうか?アメリカに行かれて米国登録栄養士を目指されたきっかけや、アメリカでの研究内容について、是非とも教えてください。
【宮﨑社長】
製薬企業で海外の事業開発という仕事をしていました。その仕事では特に5年後10年後の市場の変化を予測して開発中の医薬品の価値を最大化しそれを持って社内外の関係者と様々な契約交渉などを行う仕事でした。その当時すでに糖尿病などの生活習慣病領域では一部を除いて医薬品のニーズはないと考えられていました。一方で生活習慣病の患者数は増えているという状況で、製薬企業にいながらも、薬以外のアプローチが必要ではないかと感じました。そのような中で栄養学に興味を持ち、栄養学を深く学びたいと考えるようになりました。当時も世界で最も栄養学の研究が行われていたのがアメリカだったので様々なアメリカの大学の先生にコンタクトをしたり実際に授業を見学させていただいたりしました。その中で最も相性が良いなと感じたのがミシガン大学だったのでミシガン大学を受験し無事合格しました。
ミシガン大学では栄養学全般を一からみっちりと学びました。アメリカの教育は実社会での経験を重視することもあり、夏休みのインターンシップでは黒人を中心とした貧困層むけを対象としたウエイトマネジメントプログラムのスタッフとして働いたり、ミシガン大学病院で臨床研究のコーディネーターとして働いたりしながら、様々なことを学びました。
臨床研究で携わったのは、IBS※3患者さん向けの低FOMDAP食の研究やキウイフルーツの慢性便秘に対する効果の検証を目的とした研究、さらにはアプリや医療機器など様々な研究に携わりました。アメリカでは登録栄養士の資格を得るために10ヶ月ほど臨床での経験を積むことが必須要件になっています。私も2年間の公衆衛生学修士プログラムのプログラムを卒業した後、ミシガン大学病院やアナーバー軍人病院など様々な病院で循環器系疾患、がん、消化器など様々な患者さんの治療に携わりました。
※3.IBS:Irritable Bowel Syndrome(過敏性腸症候群)
ミシガン大学病院勤務時代
ミシガン大学公衆衛生学大学卒業式
【中東】
生活習慣病の薬以外のアプローチが「食」ということで、栄養学の道に進まれたのですね。また、その最高峰であるアメリカの大学に行かれたことも、素晴らしいです。宮﨑社長さんが、”すべての人に食の喜びを”をコンセプトに、難病であるIBD患者さんのために、栄養と食のサポートに力を入れて見えるのは、やはりアメリカでの病院勤務経験がきっかけでしょうか。また、株式会社グッテは、具体的にどんなことをされている会社ですか?会社のビジョンや戦略なども教えてください。
【宮﨑社長】
株式会社グッテは、「つながりを通して病気とともに歩む人の人生を豊かにする」をミッションとして、私がアメリカにいた2018年に日本で設立しました。ミシガン大学病院などで働いていたときに、生涯完治することがないような長期慢性疾患を抱える患者さんのケアに関わることが多かったのですが、彼らの多くが治療に加えて、病気や症状に関わる日常生活の問題に悩まれていました。しかしながらそれらの課題は医療機関がサポートすることは難しいような日々の食事や仕事、学校生活などの話でした。そういった医療機関でカバーできないような患者さんの日常生活の課題を解決したいとの思いから会社を設立しました。グッテではIBD患者さんが医療の専門家や他の患者さんとオンラインで繋がることができるオンラインコミュニティや患者さんが作ったレシピを管理栄養士が監修したレシピサイト、また、昨年には明治グループさんにサポートをいただき、IBD・IBS患者さんでも食べることができるお腹にやさしい無添加・低脂質のスナックを開発し、販売などを行なっています。
【中東】
「つながりを通して病気とともに歩む人の人生を豊かにする」、素晴らしいミッションですね。最近、株式会社グッテから発売されたノンフライスナック「やさしいひとくち」も、IBDの患者さんにとっては、嬉しい必需品になりましたね。2024年5月にはNHKのおはよう日本でも紹介されましたが、患者さんの思いが痛いほど伝わる番組でした。私もIBD患者会を担当して、今年で20年目になりましたが、難病患者さんやご家族は、毎日の生活や仕事が円滑にできることが重要であり、とくに消化器疾患では、栄養を摂りにくいのが現状ですから、栄養と食のサポートは必須ですね。宮﨑社長さんの凄いところは、科学的根拠に基づいた栄養と食を探求しているところだと思います。IBDの治療や食事療法は、アメリカと日本では違いますか?
ノンフライスナック「やさしいひとくち」
ノンフライスナック「やさしいひとくち」開発風景
【宮﨑社長】
IBDに関して、日本とアメリカで治療と食事療法の違いは、僕が帰国した5年前と比べて少なくなってきたと感じます。日本においては、以前は寛解期も厳しい食事制限を指導されることがありましたが、現在は、寛解期は栄養バランスの良い食事などが指導されるようになってきています。今後ますます日本とアメリカの食事療法の違いは小さくなってくるのではと感じます。
【中東】
なるほど、日本の栄養サポートもより良くなって来ましたね。安心して食べることができる食品が増えることは、患者さんのQOLアップに繋がります。株式会社グッテは、患者さんやご家族の方から愛され、期待される会社ですね。今後は、どのような活動をされる予定ですか?
【宮﨑社長】
日本においてはIBD・IBS患者さんの食事の選択肢はまだまだ限られていると思います。引き続きレシピサイトで料理に関する情報を発信したり、自社で新商品を開発したり、さらには患者さんにとって価値のあると考えられる他社さんの商品も積極的に紹介し、患者さんがそういった商品に気軽にアクセスできるような環境を整えられたらと思います。同時に日本の技術力を活かした安全だけどおいしい商品は海外でもニーズがあるのではと感じています。今後は海外展開も積極的に狙っていきたいと思います。
【中東】
海外展開ですね。是非ともお供したいです。
【宮﨑社長】
食に制限がある人の選択肢を増やすという観点でぜひ中東先生らともタイアップできればと考えております。是非宜しくお願いいたします。
【中東】
こちらこそ、どうぞ宜しくお願いいたします。
本日は、お忙しいところを、本当にありがとうございました。
株式会社グッテ (旧名:株式会社ジーケア)
所在地 〒101-0027 東京都千代田区神田平河町1番地第3東ビル308
設立 2018年9月28日
代表者 代表取締役 宮﨑拓郎
ホームページ https://goodte.jp
共著:~IBDにおける栄養学の科学的根拠と実践法~
潰瘍性大腸炎とクローン病の栄養管理(講談社)2021年発行
https://bookclub.kodansha.co.jp/
共著:~科学的根拠にもとづく、症状に応じた食事と栄養~
潰瘍性大腸炎・クローン病の今すぐ使える安心レシピ(講談社)2021年発行
https://bookclub.kodansha.co.jp/